
親のスマホを開こうとしたら、パスワードがわからなくて何もできなかった
ネット銀行に残高があることに気づかないまま、相続手続きを終わらせてしまった

実はデジタル遺品ですごく多いトラブルなんだ…
デジタル化が進んだ今、親世代のスマホやパソコンの中には、家族が把握していない情報が山積みになっています。
本記事では実際に起こるトラブルと、遺族が取るべき対応、これからの備えを紹介します。
✔️この記事で分かること✔️
- デジタル遺品の整理で実際に起きているトラブル
- トラブルに対する対策
そもそもデジタル遺品とは

デジタル遺品とは、大きく分けると2種類あります。
- ネット銀行・ネット証券の口座
- 暗号資産(ビットコインなど)
- 電子マネー・ポイント残高
- FX・投資信託
- スマホの写真・動画
- SNSアカウント
- サブスクリプションサービス
- メールアカウント・LINEのトーク履歴
前者は「相続の対象」になり、後者は「法的な相続はできません」。
しかし、放置するとリスクがあり、どちらも早めに対処が必要という点は共通しています。
① 故人のパスワードがわからない
どんなことが起きるか
これが最も多いトラブルです。
スマホにロックがかかっていて開けない。
パソコンにログインできない。
iPhoneの場合、パスコードを10回間違えると端末が完全にロックされ、場合によってはデータが消去される設定になっていることもあります。
さらに深刻なのが「二段階認証」です。
ネット銀行やPayPayなどのサービスにログインしようとすると、スマホにSMS(ショートメッセージ)で確認コードが届く仕組みになっていることがあります。
スマホを解約してしまうと、その電話番号宛のSMSは永久に届かなくなります。
スマホの解約はすべての手続きが終わってからが鉄則です。
対策
※スマホのロック解除
残念ながら、Appleや携帯キャリアに相談しても、端末そのもののロックを解除してデータを取り出すことは、技術的に不可能です。(できるのは端末の初期化のみ)
🚩遺族の方がやること(今困っているなら)🚩
- スマホのロック解除方法(パスコード・パターン)を確認してから解約へ
- 解約は最後の最後にする
✏️自分事として(これから備えるなら)✏️
- スマホのパスコードをエンディングノートに書き残す
- 信頼できる家族に、パスコードの保管場所を伝えておく。
トラブル② サブスクが止まらず、毎月引き落とされ続ける
どんなことが起きるか
Netflix・Amazon Prime・Spotify・iCloud……
これらのサービスは、解約しない限り自動で引き落とされ続けます。
月額1,000〜2,000円でも、半年放置すれば1万円以上の損失になります。
また、月額課金は明細に毎月出てくるため気づきやすいですが、年払いは一年に一度しか引き落とされないため、見逃してしまいがちです。
実際に、クレジットカードの明細を確認したところ、年額約6万円が払われ続けていたというケースもあります。
Amazonの「定期おトク便」は、Amazonプライムを解約しても別途止める必要があります。定期便の商品が届き続けたというトラブルも珍しくありません。
対策
🚩遺族の方がやること(今困っているなら)🚩
- クレジットカードの明細を3ヶ月分さかのぼって確認する
- スマホの「設定→Apple ID→サブスクリプション」または「Google Play→定期購入」を確認する
- 登録メールアドレスの受信箱で「更新」「ご利用明細」などのキーワードで検索する
- Amazonは「定期おトク便」を別途確認・停止する
✏️自分事として(これから備えるなら)✏️
- 契約中のサブスクリプション一覧をエンディングノートに書く
(サービス名・月額・支払カード) - 年払いのものは特に明記しておく
トラブル③ ネット銀行・証券口座の存在に気づかず、相続手続きが終わってしまう
どんなことが起きるか
通帳がある銀行と違い、ネット銀行は郵便物がほとんど届きません。キャッシュカードもない場合があります。遺族がその存在に気づかないまま相続手続きが完了してしまうケースが増えています。
さらに深刻なのは、相続税の申告漏れです。
ネット銀行の残高を把握していなかったために、後から税務署に指摘されて追徴課税を受けたというケースもあります。
FX(外国為替証拠金取引)や先物取引などのリスク商品を持っていた場合、放置すると損失が膨らみ、その損失を相続人が負ってしまうという最悪のケースもあります。
対策
🚩遺族の方がやること(今困っているなら)🚩
- クレジットカードや銀行口座の明細で「〇〇銀行」「〇〇証券」の記載がないか確認
- スマホに金融系アプリがインストールされていないか確認
- 受信メールで「口座開設のご案内」「残高のお知らせ」などを検索
✏️自分事として(これから備えるなら)✏️
- ネット銀行・証券口座の一覧(金融機関名・登録メールアドレス)をエンディングノートに書く
- FXや仮想通貨を持っている場合は特に、家族への伝達を優先する
トラブル④ 仮想通貨(暗号資産)が「幻の財産」になる
どんなことが起きるか
ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨(暗号資産)は、相続税の課税対象です。
しかしアクセスできなければ、財産があるにもかかわらず換金できないという状況が生じます。
仮想通貨には「秘密鍵」と呼ばれる非常に重要なパスワードがあります。
これを失うと、財産が存在しても永遠に取り出せなくなります。
「秘密鍵がわからないから相続できない。でも相続税の申告は必要」という皮肉な状況に陥るケースもあります。
取引所の場合は相続人であることを証明することで手続きできますが、自己管理のウォレットは秘密鍵がなければほぼ手の打ちようがありません。
対策
🚩遺族の方がやること(今困っているなら)🚩
- スマホに仮想通貨取引所のアプリがないか確認
- 受信メールで取引所名を検索(Coincheck、bitFlyer、GMOコインなど)
- 取引所の場合は相続人として開示申請が可能
✏️自分事として(これから備えるなら)✏️
- 仮想通貨を保有している場合は必ず家族に伝える
- 取引所名・登録メールアドレスをエンディングノートに記載
- 自己管理ウォレットの秘密鍵は、紙に印刷して厳重に保管し、場所を家族に伝える
トラブル⑤ 見られたくない写真・データが家族の目に触れてしまう
どんなことが起きるか
スマホの中には、家族に見せたくない写真やメッセージが含まれることがあります。
交友関係・趣味・過去の出来事。故人のプライバシーに関わるデータが、意図せず家族に閲覧されてしまうことがあります。
逆のケースもあります。
「大切なデータを守ろう」と思ってロックをかけていたフォルダが、パスワードを知らないために開けられず、そのまま処分されてしまったという話も実際にあります。
対策
🚩遺族の方がやること(今困っているなら)🚩
- すぐに全データを確認・削除するのではなく、まず全体像を把握してから判断する
- 不明なフォルダは、中身を確認せずに削除するのではなく、専門家に相談してから対処
- プライバシーに関わるデータは、家族全員ではなく信頼できる一人が担当する
✏️自分事として(これから備えるなら)✏️
- エンディングノートに「このフォルダは確認せずに削除してほしい」などの希望を明記する
- 「死後事務委任契約」を利用すれば、信頼できる第三者(専門家)にデータ整理を依頼できる
トラブル⑥ SNSの乗っ取り・なりすましが起きる
どんなことが起きるか
放置されたSNSアカウントは、フィッシング詐欺や不正アクセスのターゲットになります。
故人の名前・顔写真を使って偽のアカウントが作られ、友人・知人に詐欺メッセージが送られた—という実害が報告されています。
対策
🚩遺族の方がやること(今困っているなら)🚩
- Facebook:追悼アカウントへの移行申請、または削除申請
- Instagram:削除申請(近親者のみ)
- X(旧Twitter):削除申請
- LINE:アカウント削除申請
✏️自分事として(これから備えるなら)✏️
- Facebookで「追悼アカウント管理人」を生前に指定しておく(設定→個人の情報→追悼アカウントの設定)
- エンディングノートに各SNSの死後の希望を書いておく
トラブル⑦ 相続人間でのトラブルに発展する
どんなことが起きるか
デジタル遺品をめぐる問題が、家族間の対立に発展するケースがあります。
- 「スマホのロックを解除するために業者を使いたいが、他の相続人が反対している」
- 「写真やデータを誰が持つか、誰が削除権限を持つかでもめている」
- 「故人のブログやYouTubeチャンネルに収益があった。誰が引き継ぐべきか」
特に、相続手続き完了後にデジタル遺産が見つかった場合、すでに作成した遺産分割協議書を作り直す必要が生じ、全員の合意を取り直さなければなりません。
スマホのロック解除は全相続人の合意を得てから行うのが原則です。
対策
🚩遺族の方がやること(今困っているなら)🚩
- ロック解除・データ確認は、できれば相続人全員が立ち会うか、合意を取ってから行う
- デジタル遺産(お金に関わるもの)が見つかった場合は、すぐに弁護士・司法書士に相談する
- 手続きの記録(いつ・誰が・何をしたか)を残しておく
✏️自分事として(これから備えるなら)✏️
- 遺言書にデジタル遺産の扱いを明記しておく(誰に何を引き継ぐか)
- 収益のあるブログ・YouTubeチャンネルがある場合は特に重要
- エンディングノートに「スマホのデータ確認は○○に任せる」と担当者を明記する
今すぐできる対策まとめ|遺族として・自分として

遺族として親のデジタル遺品を整理するなら
まずやること(優先順位順)
- スマホをすぐに解約しない(手続きが終わるまで維持)
- クレジットカードの明細を3ヶ月分確認(サブスクの洗い出し)
- スマホのアプリを確認(金融系・サブスク系)
- メールの受信箱を検索(「更新」「ご利用明細」「口座」)
- サブスクを一つずつ解約していく
詳しい手順はこちら→[スマホを解約する前にやること10選]
自分のデジタル遺品を整理するなら
今日からできること
- スマホのパスコードを書き留める
- サブスク一覧を作る(サービス名・月額・支払いカード)
- ネット銀行・証券口座を書き留める(口座番号よりも登録メールアドレスが重要)
- SNSの死後の扱いを決める(追悼アカウント or 削除)
- エンディングノートにまとめる
終活のチェックリスト→終活の始め方とやることリスト
ChatGPTを使ってエンディングノートを書く方法→[ChatGPTでエンディングノートを書く方法]
デジタル遺品のトラブルまとめ
| トラブル | 主な原因 | 対策の核心 |
|---|---|---|
| ① スマホが開けない | パスワード不明 | 解約前に確認・エンノに記載 |
| ② サブスクが止まらない | 存在を知らない | 明細確認・一覧を残す |
| ③ ネット口座に気づかない | 郵便物がない | メール・アプリ確認 |
| ④ 仮想通貨にアクセスできない | 秘密鍵不明 | 取引所名・鍵の記録 |
| ⑤ プライバシーが漏れる | 事前の意思表示なし | 担当者・希望をエンノに |
| ⑥ SNSが乗っ取られる | 放置 | 早期に削除or追悼移行 |
| ⑦ 相続人間でもめる | 情報共有不足 | 遺言書・全員合意の原則 |
デジタル遺品のトラブルは、ほとんどが「知らなかった」「伝えていなかった」から生まれます。逆に言えば、少し準備するだけで防げるトラブルばかりです。
悲しみの中での手続きを少しでも楽にするために、今日から一つずつ始めてみてください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としています。相続手続きや法的判断については、弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。





コメント