
銀行・証券・不動産…手続きのたびに同じ戸籍の束を持ち歩かないといけないの?
相続手続きを少しでもラクにする方法はないのかな?

「法定相続情報一覧図」という制度で手続きの大変さが全然違うんだ。
相続手続きの「地味にしんどい」戸籍集め問題

親が亡くなった後、相続手続きは想像以上に多くの場所で、多くの書類を求められます。
銀行・証券・保険…窓口ごとに戸籍一式の提出が必要
相続手続きで必ず必要になる書類の代表が「戸籍謄本」です。

しかも1通あればいいわけではなく、「故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本すべて」が必要なんだ
転籍・結婚・法律改正による戸籍の作り直しなどで、多ければ10通以上になることも珍しくありません。
そしてこの戸籍の束を、手続きをする場所ごとに提出しなければなりません。
相続手続きが必要になる主な場所
| 手続き先 | 主な手続き内容 |
|---|---|
| 銀行(複数ある場合は各行) | 口座の凍結解除・払い戻し・解約 |
| 証券会社 | 株式・投資信託の名義変更・売却 |
| 生命保険会社 | 保険金の受け取り |
| 法務局 | 不動産の相続登記(名義変更) |
| 年金事務所 | 未支給年金・遺族年金の請求 |
戸籍を「使い回す」と時間がかかりすぎる
戸籍謄本の原本は1セットしかありません。
A銀行に提出している間は、B銀行には出せない。
原本を返してもらってからB銀行に提出して、返してもらってから証券会社へ…….
という順番待ちのループが発生します。
複数の銀行口座がある場合、戸籍の束を使い回すだけで何か月もかかることがあります。
悲しみの中でこれを一人でやらなければならない。それが相続手続きの現実です。
救世主「法定相続情報一覧図」とは?

1枚の紙が「戸籍の束」の代わりになる

「法定相続情報一覧図」って何なの?

亡くなった方(被相続人)と相続人全員の関係を1枚にまとめた図のことなんだ
2017年5月から始まった「法定相続情報証明制度」によって発行される公的な証明書で、法務局の登記官が内容を認証したお墨付きがついています。
この1枚があれば、各手続き先に戸籍謄本の束を提出する必要がなくなります。
イメージ図です⬇️

なんと発行手数料は「無料」

「法定相続情報一覧図」の写しの交付には、手数料がかからないんだ!
何枚発行してもらっても無料です。
ただし、注意点が1つあります。
「無料」なのは法務局での発行手数料だけです。
一覧図を作るために最初に戸籍謄本を集める費用(1通あたり450〜750円)は、従来どおりかかります。
「戸籍謄本を一切集めなくていい」というわけではありません。
ここを誤解している記事が多いので注意してください。
何枚でも・何度でも取得できる
一度申出をすれば、同じ内容の写しを必要な枚数だけ交付してもらえます。
一般的な相続手続きであれば、5通程度あれば十分とされています。
また、申出日の翌年から起算して5年間は再交付が可能で、その間は何度でも無料です。
有効期限は基本的にない
法定相続情報一覧図そのものに有効期限はありません。
ただし、銀行など民間の金融機関によっては「発行から6か月以内のもの」などの条件を設けている場合があります。
提出先に事前に確認しておきましょう。
法定相続情報一覧図のメリットまとめ

| メリット | 内容 |
|---|---|
| 戸籍の束を持ち歩かなくていい | 手続き先ごとに戸籍謄本を提出する必要がなくなる |
| 複数の手続きを同時並行できる | 銀行・証券・保険を同時に進められる |
| 発行は無料 | 何枚取得しても法務局への手数料はゼロ |
| 再交付も無料 | 5年以内なら何度でも再発行できる |
| 使える場面が広い | 銀行・証券・保険・年金・相続登記など幅広く対応 |
デメリット・注意点

とっても便利!早速手続きしてくる!

ちょっと待って!便利だけどデメリットもあるんだ!
デメリット①「作成に手間がかかる」
法定相続情報一覧図は、法務局に行けば作ってもらえるわけではありません。
自分で一覧図を作成してから申出する必要があります。
また、申出前に戸籍謄本一式を揃える必要があるため、「すぐに発行してもらえる」ものではありません。
申出から交付まで1週間〜10日程度かかります。
デメリット②「一部の手続きでは使えない場面もある」
法定相続情報一覧図では「戸籍に記載された相続関係」しか証明できません。
遺産分割協議書・印鑑証明書など、戸籍謄本以外に必要な書類は別途揃える必要があります。
また、相続放棄した人も一覧図に記載されます。
実際には相続人でない人も含まれるため、手続き先によっては別途書類の提出を求められることがあります。
デメリット③「続柄の書き方で使える場面が変わる」
一覧図の続柄を「子」と記載した場合(実子・養子の区別をつけない書き方)は、相続税の申告には使えません。
相続税申告も行う可能性がある場合は、「長男」「長女」「養子」などと正確に記載する必要があります。
作り方・発行手順|5ステップで完結

「法定相続情報一覧図」の作成~発行までの手順を解説します!
STEP 1:必要書類を集める
必ず必要な書類
| 書類 | 取得先 | 費用目安 |
|---|---|---|
| 故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍含む) | 本籍地の市区町村役場 | 1通450〜750円 |
| 故人の住民票の除票(または戸籍の附票) | 最後の住所地の市区町村役場 | 1通300円 |
| 相続人全員の現在の戸籍謄本または抄本 | 各自の本籍地の市区町村役場 | 1通450円 |
| 申出人の氏名・住所を確認できる公的書類のコピー | 手元にあるもの | 無料 |
✔️場合によって必要な書類✔️
- 相続人の住民票(一覧図に住所を記載する場合)
- 委任状(代理人が申出をする場合)
–戸籍謄本の収集が大変な場合–
2024年3月から「広域交付制度」が始まり、本籍地が遠くても最寄りの市区町村役場で戸籍謄本を取得できるようになりました。
STEP 2:法定相続情報一覧図を自分で作成する
A4用紙に、故人と相続人全員の関係を図式化して書きます。
下から5センチは空白にしてください。 法務局が認証文を記入するスペースになります。
記載が必要な内容:
- 故人(被相続人)の氏名・生年月日・死亡年月日・最後の住所・本籍
- 相続人全員の氏名・生年月日・故人との続柄
- 申出人の氏名の横に「(申出人)」と記載
- 作成日・作成者の住所・氏名
法務局の公式サイトにひな型(様式・記載例)が公開されています。
見本を参考に作成すれば、一から考える必要はありません。
法務局の様式・記載例:https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000015.html
STEP 3:申出書を記入する
法務局所定の申出書に必要事項を記入します。
申出書は法務局の窓口でもらえるほか、法務局の公式サイトからダウンロードもできます(Word・PDF形式)。
申出書の主な記入内容:
- 申出の年月日・申出をする登記所の名称
- 被相続人の氏名・最後の住所・最後の本籍・出生年月日・死亡年月日
- 申出人の住所・氏名・被相続人との続柄
- 利用目的(相続登記・銀行手続き・年金等手続きなど)
- 交付枚数
STEP 4:法務局に申出する
集めた書類・作成した一覧図・記入した申出書を、管轄の法務局に提出します。
申出できる法務局は4か所から選べます。
- 故人の本籍地を管轄する法務局
- 故人の最後の住所地を管轄する法務局
- 申出人(相続人)の住所地を管轄する法務局(←最もアクセスしやすい)
- 故人名義の不動産の所在地を管轄する法務局
自分が行きやすい法務局を選んでください。
申出方法は窓口・郵送どちらも可能です。
初めての方は事前に法務局に電話して「法定相続情報一覧図の作成相談の予約」をすることをおすすめします。
STEP 5:写しを受け取る
申出から1週間〜10日程度で、法務局の認証文がついた「法定相続情報一覧図の写し」が交付されます(法務局によっては翌日に交付されることもあります)。
窓口で受け取る場合は、申出書に記載した住所・氏名と一致する本人確認書類を持参してください。郵送での受け取りも可能です(返信用封筒と切手を申出時に同封が必要)。
法定相続情報一覧図が使える主な手続き
| 手続き | 利用できるか |
|---|---|
| 銀行口座の解約・払い戻し | ✅ 利用可 |
| 証券口座の名義変更 | ✅ 利用可 |
| 生命保険金の請求 | ✅ 利用可 |
| 不動産の相続登記(名義変更) | ✅ 利用可 |
| 年金・遺族年金の手続き | ✅ 利用可 |
| 相続税の申告 | ✅ 利用可(ただし続柄の記載方法に注意) |
| 遺産分割協議書の作成 | ❌ 代用不可(別途必要) |
| 印鑑証明書の代用 | ❌ 代用不可(別途必要) |
よくある質問
- Q自分で作れる?専門家に頼む必要はある?
- A
自分で作成・申出することは可能です。
法務局の公式サイトに記載例が公開されており、書き方の相談も法務局の窓口で行えます。ただし、相続関係が複雑(再婚・養子縁組・代襲相続など)な場合は、司法書士・行政書士への依頼が無難です。専門家への依頼費用は1万〜10万円程度です。
- Q銀行ごとに枚数を用意する必要がある?
- A
はい。銀行3か所に提出する場合は3枚必要です。
申出時に希望枚数を申請すれば、まとめて交付してもらえます。
- Q戸籍の広域交付制度と組み合わせると便利?
- A
非常に相性が良いです。
2024年3月から始まった広域交付制度を使えば、最寄りの市区町村役場で全国の戸籍謄本を取得できます。法定相続情報一覧図のために戸籍を集める手間が大幅に減ります。
- Q一人暮らしだった親の場合、誰が手続きできる?
- A
急いでいる場合は、まず戸籍謄本の原本で手続きを始め、並行して一覧図の申出を行う方法もあります。
一覧図が交付されたら、以降の手続きに活用してください。
まとめ|相続手続きは「知っている人・準備した人」が圧倒的にラク
相続手続きで「戸籍謄本を何度も集めて、何か所にも提出して、返却を待って…」という苦労を経験した人は多いです。
法定相続情報一覧図を使えば、そのループから抜け出せます。
「知らなかった」で損をするのが、相続手続きです。
この記事を読んだ今日から、少しでも準備を始めてみてください。
関連記事
- 銀行口座の名義変更・解約手続き→[銀行口座の名義変更|死亡後の手続き手順・必要書類・注意点]
- デジタル遺品の整理→[デジタル遺品整理で起きる7つのトラブルと対策]


コメント